G-CSF療法 血管新生と子宮内膜

子宮内膜が厚くならないために胚移植に難渋している方は少なくないと思います。ホルモン補充(エストロゲン)やGnRHアゴニスト、血流改善療法(バイアスピリン・ビタミンE・L-アルギニン・バイアグラなど)が行われるのが一般的だと思います。

 

エストロゲン剤はエストロゲンによる子宮内膜増殖効果を期待したもので、GnRHaは子宮内膜への直接作用を期待したものです。血流改善療法は薄い内膜では子宮筋層の血流が低下しているという報告に基づいたものです。

 

それぞれ一定の効果が上がっていることはよくご存じのことと思います。これらの方法を試しても改善しない子宮内膜にはもう方法がないのかというとそうでもありません。

 

子宮内膜の増殖には血管新生というメカニズムが深く関与しています。子宮内膜に出現する血管新生促進因子(プロモーター)としてVEGFやFGFなどが知られています。子宮筋層の血流が改善しても血管新生プロモーターが不足していると子宮内膜が増殖しないケースもあるのです。

 

腫瘍による免疫抑制を活性化し血管新生に関与することで、腫瘍の増殖、転移に関与する骨髄由来抑制細胞MDSC:myeloid-derived suppresor cell)という細胞があります。この細胞による免疫抑制についてはさておき、子宮内膜の増殖関係では、MDSCの血管新生に注目しているようです。MDSCはVEGF、bFGF、MMP-9、MMP-8、プロキネシチン1、プロキネシチン2、IL-8といった血管新生促進因子を産生します。この作用を内膜の増殖に応用しようという試みがあります。つまり、MDSCを集積・増殖させる因子を利用して子宮内膜の血管新生促進因子を増やすことで子宮内膜を増殖を促す試みです。

 

G-CSF療法がこれに当たります。G-CSFとは顆粒球コロニー刺激因子のことで、MDSCの集積・増殖因子の一つです。G-CSFを子宮空内に投与して内膜を増殖を促す治療法です。従来のホルモン補充や血流改善法で十分な効果が得られない方は検討してみる価値があるかもしれませんね。実施施設や薬剤などは自分で検索してくださいね。

2016年06月06日