頸管粘液とエストロゲン

子宮頸部の内側を満たしている粘液を頸管粘液といい、頸管部にある分泌細胞から分泌されています。ホルモン(エストロゲンやプロゲステロンの抗エストロゲン作用)の影響を受け周期的にその量・性状は変化します。

 

月経終了後の3~4日間は粘液の分泌がなく膣粘膜は乾いた状態である。その後少量の分泌が始まり、排卵の前の3日間は分泌量が増え、さらさらとした水様性となり、牽糸性も増します。この時期の分泌量は1日当たり0.5ml以上に達します。排卵後は再び少量となり、黄色みを帯びた粘稠性の高いものとなります。

 

排卵直前の頸管粘液は精子の子宮内への進入を許容にします。膣内部は酸性ですが、精子は酸性下では長くは生きられないません。このために放出された精子は弱アルカリ性(PH7~8.5程度)の頸管粘液内へと速やかに移動します。

 

この粘液の質の変化と分泌が量が十分でない場合には、妊娠の成立に影響することがあります。ちなみに、排卵前の時期におけるこの粘液の牽糸性は指に粘液を取り母指と示指でつまんで離してゆくと9~10cm以上の糸を引くとされています。また、月経から排卵期まではエストロゲンの影響で性状・量が変化しますので、もともと分泌がよくない方の場合にはホルモンバランスの改善を推測する手がかりともなり得ます。セルフケアとしてタイミング法を用いて妊娠を試みている場合には、基礎体温とともに排卵日を推定する材料となります。

 

頸管因子による不妊と診断されるカップルるは5%ほどです。また、よく知られている排卵誘発剤クロミフェンには抗エストロゲン作用があるので、頸管粘液の分泌を減少させる可能性があります。

不妊治療で来院される患者の中には、この頸管粘液分泌が十分ではないがいらっしゃいます。むろん個人差はありますが、鍼灸治療で改善される方が多くいらっしゃいます。

 

クロミフェンについて
排卵障害の改善には効果的で、一度無月経で70%ほどの排卵がみられます。一方、その抗エストロゲン作用により子宮内膜の菲薄化と頸管粘液の分泌減少がおこる場合があります。高い排卵率ににして妊娠率がそれほど高くならないことが指摘されています。対策としてhMGの追加投与や一定期間使用後の休薬などが行われています。

2016年06月02日