黄体機能不全と着床

黄体機能不全は不妊症、反復流産、習慣性流産の原因となり得ます。黄体とは排卵後の卵胞が変化したもので、プロゲステロン(黄体ホルモン)を分泌します。黄体機能不全とはプロゲステロンの分泌が低下するなどして子宮内膜の成長(分泌性変化)や卵子の受精能の獲得が影響を受け、なかなか妊娠できない状態となるという機能性不妊の一つです。プロゲステロンは排卵期おいてはLHサージにより分泌誘導され、黄体期おいては下垂体から一定のリズムで分泌されるLH(pulsate LH secretion,LH パルス分泌)により分泌が維持されます。

黄体機能不全とは具体的には以下のようなことで判断します。

  • 基礎体温の高温相の持続日数が短い(10日未満)
  • 基礎体温の高温期中期で一時的な体温の低下を認める
  • 黄体期中期の血中プロゲステロン値が10ng/ml未満になる
  • 子宮内膜日付診に3日以上のズレが生じる(個体差が大きく信頼性が低いともいわれています)
  • 基礎体温の低温相と高温相の差が0.3度未満になる

卵胞の発育が不良な場合などでは黄体機能が低下していることが多いかもしれません。

黄体機能不全の原因と考えられるものはたくさんあり、卵胞期におけるFSH分泌不全、不十分なLHサージ、LHパルス分泌の頻度異常、原子卵胞の減少、卵胞の発育障害、活性酸素の増加、血流障害、子宮内膜のPR(プロゲステロンレセプター)の発現不良、子宮内膜炎、内膜の血流障害などなどさまざまです。また、甲状腺機能低下症や高プロラクチン血症・肥満などが原因となる場合もあります。

 

着床についてですが、子宮内膜が胚を受容することが可能な期間は月経周期の20日~24日と云われており、これを着床の窓implantation windowといいます。胚にも着床可能な時期がありますので妊娠の成立にはこれら双方の一致が重要となります。この内膜と胚の調整をクロストークといいます。黄体機能不全になると着床の窓が出現しなかったり、あるいはその期間が短くなったり、発現時期がずれたりします。これにより胚が着床できなくなり妊娠が成立しなくなります。エストロゲンとプロゲステロンの分泌(タイミングと量)を整えることが重要です。

 

臨床的にはプロゲステロンの投与が一般的です。特にART周期でGnRHアゴニスト使用したロング法の場合には、LH(黄体形成ホルモン)の分泌不全による黄体機能不全が生じるため、プロゲステロン(黄体ホルモン)の投与は有効と云われています。

 

黄体機能不全といわれるとちょっと難しく考えがちですが、決して不変的なものではありません。当室では、子宮や卵巣の血流が改善し、抗酸化作用やホルモン調整作用を引き出すように中医鍼灸を行うため黄体期の不全の状態が改善する例が多くみられます。

2016年05月30日