黄体って?

ある患者さんから「黄体機能不全といわれましたが、そもそも黄体とは何をしているところですか?」と質問されました。ちょうどよい機会ですので、黄体について整理してみたいと思います。 

 

卵子は卵巣にある卵胞の中で排卵まで育まれます。個人差はありますが月経周期の半ば近くになると、LHサージという黄体形成ホルモンの分泌のピークを迎え、その後卵胞表面が破れ卵子が放出されます。これが排卵です。卵の殻が割れて黄身がでてくるイメージでよろしいかと思います。

 

卵子を育む卵胞の内部には卵胞液という液体が充満しています。

排卵により中身(卵子)が放出された卵胞では、急激に血管が新生されて短期間で(液体ではなく身の詰まった)実質器官に変身します。この器官を黄体と呼びます。急激に血管が新生されると書きましたが、成熟した黄体では血管内皮細胞が50%以上を占めています。つまり、黄体の機能を支えるには血流がとても重要ということです。

 

さて、その黄体の役割ですが、プロゲステロン(黄体ホルモン)とエストロゲン(卵胞ホルモン)というステロイドホルモンを分泌しています。ステロイドホルモンはコレステロールを原料として作られます。ちなみにエストロゲン(卵胞ホルモン)は排卵前は卵胞から分泌されていましたが、排卵後は黄体から分泌されています。黄体から活発に分泌されるプロゲステロンは着床と妊娠の維持にとって重要役割を果たします。

 

ここで、排卵後に黄体から活発に分泌されるプロゲステロンの作用を整理しておきましょう。

排卵前にから卵胞から分泌されたエストロゲンの作用で厚くなった子宮内膜は、排卵後にはプロゲステロンの作用で成熟し、受精卵(胚)が着床しやすい環境を急ぎ整えます。また、排卵後に基礎体温が上昇するのもプロゲステロンの作用です。排卵後着床までに子宮内膜の環境を整えるために、黄体は速やか且つ活発にプロゲステロンを産生し供給する必要があります。原料であるコレステロールの黄体への搬入と、黄体で作られたプロゲステロンの搬出に滞りがあっては(現場のニーズに応えられないという)問題が生じるため、黄体には豊富な血管が必要不可欠となります。

 

黄体機能不全とは、この黄体のホルモン分泌機能(産生と供給)が弱い状態をいいます。

基礎体温の高温期が10日以内である

基礎体温の低温期と高温期の温度差が0.3℃以下である

基礎体温の高温期前半の温度上昇が低い

基礎体温の高温期後半に体温が下降する

黄体期中期の血中プロゲステロン濃度が10ng/mlに満たない

 

以上のような傾向を示すことが多く、場合によっては、黄体期中期の子宮内膜の厚さが薄くなることもあるかもしれません。(子宮内膜が薄い原因がすべて黄体機能不全であるということではありません)

 

一般的に治療法としては、排卵誘発剤を使用する、排卵後にhCG剤を注射する、黄体ホルモン剤を補充する、サプリや漢方などを用いて血流を改善する、といった方法があります。

 

当室では、鍼灸を用いて血流を改善する方法、スーパーライザーを用いて交感神経を抑制したり弾性組織を直接弛緩させることで血流を改善し高い効果をあげています。

 

 

 

 

ちなみに排卵から着床に限定しなければ、プロゲステロンの生理的作用には次のようなものがあります。

 

子宮内膜分泌期像への変化

子宮平滑筋収縮を抑制

頸管粘液の減少

乳腺小葉の腺房の発育

基礎体温の上昇

ゴナドトロピン分泌の抑制

 

妊娠中にも重要な働きをし、ホルモンバランスを整える役割があることが窺えますね。

 

2018年07月10日