ビタミンDと紫外線と妊孕性

ビタミンDの生体への作用は、小腸や腎臓でカルシウムの吸収を促し骨や歯を強くすることです。骨は一度形成されるとずっとそのままなのではなく、リモデリングといって破壊と再構築を行って維持されています。ビタミンDはこのリモデリングを促す作用があります。骨やカルシウム以外の作用としては、がん細胞の抑制や正常細胞への分化誘導、副甲状腺ホルモンの分泌抑制、発毛調節といった作用が報告されています。

生殖領域においてもこの数年、ビタミンDと妊孕性に関する報告がいくつかなされています。

*ビタミンDを摂取することで、AMHの上昇が認められる
*ビタミンDの濃度が30ng/ml以上の場合には体外受精の妊娠率が高い
*ビタミンDの濃度が10ng/ml以下の場合には卵胞発育障害や妊娠率が認められる
*ビタミンDの濃度が20ng/ml以下の場合には着床障害の可能性
*ビタミンD欠乏で不育症のリスクが上昇

ビタミンD₃は体外からの摂取以外にも体内で産生されます。主に280nm~315nm(B波)の紫外線を浴びることにより皮膚で作られます。これにより、単純に日光浴が推奨されるのかといえば、そう単純ではありません。地上に到達する紫外線にはA波B波があります。C波については通常オゾン層でブロックされますので地上には届きません。地上に降り注ぐ紫外線にはA波がB波の約20倍含まれています。A波にはB波ほどの強い日焼け作用はありませんが、長期間さらされることによりシミやシワなどの原因になり、さらには身体の中のビタミンDを破壊します。B波には強い日焼け作用がある一方、ビタミンDの生成を促す効果があります。

ちなみに、日焼け止めのSPFはSun Protection Factorの略でB波を防ぐ指標です。PAはProtection Grade of UVAの略でA波を防ぐ指標です。

この時期、日焼け止めをお使いの方も多いかと思いますが、ビタミンDの合成を抑制している可能性もあります。また、室内にいる場合には、B波は窓ガラスに吸収されてしまいますが、A波は1枚ガラスの場合には20~50%ほどは通過します。これはビタミンDの合成が抑制され、破壊が促進されることを意味しています。

是非とも日光浴をと言いたいところですが、シミやシワだけでなく、紫外線による皮膚がんリスクもありますね。紫外線の強い時期には、食品やサプリを活用するもの良いかもしれません。

2017年07月20日