慢性子宮内膜炎

あまり馴染みのない病名かも知れませんが、慢性子宮内膜炎と不妊症・不育症の関連性が指摘されています。


 〇 反復着床不全患者の30%
 〇 原因不明妊娠患者の28%
 〇 原因不明流産患者の12%


に慢性子宮内膜炎が認められると報告されています。

 

生殖の舞台となる子宮や卵管内は非自己との接触の場でもあります。感染や細胞のがん化に対応すべく、様々な免疫細胞が存在しています。しかし、子宮内膜には通常、免疫担当細胞の一つである形質細胞は存在しないとされています。慢性子宮内膜炎とは、この形質細胞が子宮内膜間質へ浸潤している状態が認められる局所性の慢性炎症です。

 

形質細胞はプラズマ細胞とも呼ばれ、リンパ球の仲間であるB細胞から分化したものです。B細胞は脾臓やリンパ節や粘膜組織などに分布し、細菌やウイルスが侵入すると形質細胞へと分化し、免疫グロブリンという抗体機能を有する血清蛋白質(IgG,IgA,IgM,IgD,IgE)を産生します。主に形質細胞は急性炎症期の末期から慢性炎症期の患部に現れます。

 

慢性的に炎症が内膜組織に存在し環境が変化することにより、子宮内膜の分化に影響が出ているのではないかと考えられています。

 

慢性子宮内膜炎は特殊な菌が原因となるのではなく、レンサ球菌や大腸菌、腸球菌やマイコプラズマなどが認められることが多いと報告されています。また、特徴的な症状が認められることはほとんどなく、通常炎症の指標とされる白血球数やCRPなどの血液検査でも発見は難しいようです。内膜組織の生検が必要なようです。

 

内膜生検により菌が特定されると、それに応じた抗菌薬治療を行うことにより、その後の妊娠率・生産率が向上することが報告されています。

 

採卵や培養には問題ないのに着床しない、あるいは流産を繰り返している場合などは、医師に相談してみると良いかもしれませんね。

 

2016年11月01日