抗エストロゲン作用とは

クロミッドを使って排卵誘発を行っている方から、「抗エストロゲン作用って何ですか? なぜ子宮内膜が薄くなったり、頸管粘液が減少するのですか?」と質問がありました。不妊や排卵障害で悩んでいる方なら、ほとんどの方が耳にしたことがある薬かと思われます。

 

まず、クロミッドは薬の製品名でクエン酸クロミフェンとといいます。強い抗エストロゲン作用を有しており、それにより排卵誘発を促す薬です。抗エストロゲン作用とはエストロゲンの作用を阻害することです。エストロゲンとGnRH(➡FSH分泌促進)はネガティブフィードバックの関係にあります。つまり、エストロゲンが増加すればGnRHは減少し、エストロゲンが少なければGnRHが増加しFSHを通じてエストロゲンの分泌を促します。

 

クエン酸クロミフェンは、本来エストロゲンの増加によりGnRHが抑制されるべきところに作用して、脳がエストロゲンの増加を認識できない状態にします。これにより、GnRHの分泌が抑制されずに卵胞は刺激され続け、排卵が促されます。また、クエン酸クロミフェンの血中半減期は長い(5~21日間)ため、結果として主席卵胞以外の小卵胞が閉鎖されずに発育します。

参考)フェマーラとクロミッド

 

以上のように、クエン酸クロミフェンの排卵誘発作用自体が抗エストロゲン作用によるものです。

 

では、「なぜ子宮内膜が薄くなったり、頸管粘液が減少したりするのか」について説明します。簡単に言えば、子宮内膜の肥厚や頸管粘液の分泌はエストロゲンの作用によるものだからです。内服されたクロミッドは脳の(GnRHを分泌する)視床下部だけに作用するものではありません。内膜や子宮頸部のエストロゲンの受容器も阻害されてしまいます。このため内膜の菲薄化や頸管粘液の減少が起こってしまいます。

 

また、クエン酸クロミフェンの血中半減期は5~21日間ほどです。すべてなくなるには更なる期間が必要となります。何周期も連用することにより、少しずつ翌周期の残効も増えることが懸念されます。状況をみながら、一定期間連用したら休薬期間を設けるなどの対策が必要となるのはこのためです。

 

ちなみに、クロミッドで知られるクエン酸クロミフェンですが、クロミッド以外にもスパクロミン、セロフェンなどがあります。また、クエン酸クロミフェンよりも少し抗エストロゲン作用が弱いものにシクロフェニルがあります。ことらはセキゾビットになります。

 

2016年09月20日