むち打ち(頸部捻挫)の後遺症と鍼

追突事故によるむち打ち損傷(頸部捻挫)による痛み後遺症の患者さんが来ていました。事故自体は5年ほど前で、当時、整形外科や整骨院に通院して治療ていたそうですが痛みが残存したそうです。その後、更年期に差し掛かってきたころから頸部痛・頭痛が悪化し、慢性的に不快な痛みで苦しんでいるそうです。外傷性急性痛の慢性疼痛への移行を防げなかった典型例だと思います。

 

この患者さんに限らず、外傷による痛み後遺症を抱えている方は少なくないと思います。交通事故の場合は事故自体が軽微であったから、損傷も軽いはずと考えてしまいがちです。被害者のみならず損保の担当者などは完全にこのスタンスですね。

 

頸は6~7キロもある頭部を支えています。スマホをするときに少し首を傾けるだけで、通常の5倍ほどの力学的な負担が生じるとされています。そこに交通事故やスポーツといったような速度の要素が加わっただけでも、瞬間的に頸部にかかる負担はかなりのものであることは想像に難くないかと思われます。

 

また、頸部は頭部を支えるため比較的厚い筋で覆われています。事故にあったときに表層だけでなく深部にも傷害が生じている可能性があります。交通事故の場合には損保の誘導もあり整形や整骨での治療となるかと思いますが、深部の損傷部位に効果的な治療がされているのか否かは疑問ですね。

 

急性の痛みが慢性疼痛に移行するのには3か月ほどかかるとされています。慢性疼痛に移行すると、その治療にはかなりの困難を伴いますから、痛みの慢性化を防ぐのはある意味時間との戦いになります。交通事故の治療の場合には、告示されている自賠責支払い基準の内規(←当然告示されていません)によって、鍼灸にはかかりにくい取扱いになっていますから、法やシステムに詳しくなければ仕方ないのかも知れませんね。

 

さて、上の方の場合は、更年期症状により普段抱えている慢性痛が悪化した症例です。


更年期症状として、痛みや凝り症状が生じたり悪化したりすることが多いということに関しては、以下を参照ください

http://lilac89.com/menopause.html


慢性疼痛と更年期障害の双方の観点から治療を開始いたしました。半年間ほどの鍼治療(鍼手技と運動針)でほぼ痛みを感じることがなくなり安定したため治療を終了しました。

 

外傷による慢性疼痛(痛み後遺症)でお悩みの方はお気軽にご相談ください。

 

 


 

*上の交通事故の治療(損害賠償)に関してですが、内規は内規にすぎませんので外部には強制力はありません。また、交通事故の損害賠償は自賠責基準で行われなければならないという理由もありません。お困りの方は弁護士に相談するとよろしいでしょう!

2016年11月24日