膝の関節水腫

60代の女性の方が膝窩(膝の裏)に水が溜まり、数ヶ月前から整形外科に通っているがあまり改善しないと訴えて来院されました。日常生活では、膝を曲げにくいことと、階段を降りるときに痛みが生じるそうです。また、スポーツを好まれるらしく、運動中に痛みが生じるため激しくできないと話されていました。

 

関節には滑液という水が溜まっています。この水を包んでいる袋の部分を滑膜といいます。

軟骨は血管による血液供給を受けていません。このため滑膜において血液から栄養を取り込み、滑液(関節の水)を産生することにより軟骨を栄養します。また、滑膜は古くなった滑液を吸収することで関節液(滑液)を一定に保ちます。

 

加齢によって軟骨摩耗が生じ炎症が生じると、滑膜は滑液(関節液)の産生量を増やし炎症を抑えようとします。
産生量>吸収量 となり、関節に滑液過多となった状態が関節水腫です。

 

水腫の原因となる炎症を生じさせる要因には以下のようなものがあります。

加齢による骨組織の老化
軟骨の摩耗、摩擦の増加 etc.
関節の骨組織に変形を生じさせる疾患
変形性(膝)関節症 関節リウマチ 痛風 etc.
けがや事故によるもの
剥離骨折 疲労骨折 etc.

あまり馴染みのない病名かも知れませんが、ベーカー嚢腫とは膝関節に溜まっていた水の一部が袋状に変形することより生じます。

 

整形外科では水を抜いたり、ヒアルロン酸を注入するといった治療を行ったりするかと思います。

 

当室では鍼灸治療で関節の消炎を促すとともに、滑膜による滑液の吸収を促します。膝窩の経穴も含めて透熱灸を行います。また、自宅療法として適切なスポーツアイシングと安静の確保により、まずは炎症の鎮静を図ります。

 

上の女性の場合では、2カ月間ほどで水腫は治まりました。日常的にスポーツアイシングをしてもらうことで、徐々に運動も再開されました。

 

2016年10月08日