術後痛(手術後の慢性的な痛み)

 

病気と闘う上で手術は非常に効果的な手段であり、重い疾患に苦しむ患者にとって最後の希望である。これは紛れもない事実であろうし否定するつもりはありません。しかし、手術はその侵襲性故に術後慢性的な痛みや不快感に苦しむ人が存在することもまた事実です。内視鏡など低侵襲な方法の研究、麻酔の工夫などにより術後痛は以前よりも減少しているようですが、発症した方には非常に大きな問題となります。。

術後痛は大まかに以下のようなものがあります。

  • 組織の損傷や外傷に対する炎症による痛み(侵害受容性疼痛、内臓痛)
  • 末梢神経や中枢神経が直接傷つくことで生じる痛み(神経因性疼痛:感覚の低下と焼灼痛・電撃様放散痛、アロディニアの出現)
  • 筋の攣縮とその痛み(深部痛)
  • 末梢神経や中枢神経が直接傷つくことで生じる痛み(神経因性疼痛:感覚の低下と焼灼痛・電撃様放散痛、アロディニアの出現)

術後疼痛の慢性化は不安を助長し意欲をさせるため、患者のQOL即ちその後の人生に大きく影響することが懸念されます。WHOの合意形成文には鍼治療は術後痛(postoperative pain)には効果的な治療法であると紹介されています。鍼灸治療は様々な術後痛治療法の一つに過ぎません。切開創周囲の血液やリンパの流れ改善し、全身の経穴を活用調整(鎮痛システムの賦活など)することで、痛みの軽減、腫れの消退、筋攣縮(スパズム)軽減、ストレスの軽減、意欲の向上などに寄与します。併用するメリットは少なくありません。

臨床例~人工関節置換術後の痛み(70代女性)
階段から滑落し左大腿骨頭を骨折したため人工関節を入れた。退院後手術部位の痛みが激しいため往診を要請された。痛みは入院時から生じていたが治療によっても取れなかったという。股関節周囲から大腿にかけて硬くなっていて強い痛みがありなかなか寝られないという。局所の鍼灸治療と頭部への施灸を行うことし、セルフケアとして自宅で棒灸を行ってもらう事とした。心地良い程度に棒灸を行うことにより痛みが軽くなり、夜寝られるようになったという。8ヶ月ほど鍼灸治療を継続し、痛みはほぼ消失したため治療を終了した。この方はある程度痛みが軽減した後は熱心に歩行訓練をされたため、近所程度なら一人で歩けるようになった。

臨床例~帝王切開後の下腹部痛の残存(40代女性)
帝王切開後の痛みが出産後半年を過ぎても取れない。産婦人科に相談したが特に痛みの原因となるような問題はないといわれた。また、微量の出血などの症状もない。授乳中のため生理まだないため月経周期との関連は不明であるが、術痕の瘢痕化が原因であろうと推測して駆瘀治療を始める。同時に授乳を中止しても良いとのことだったので、早期の疼痛緩和を図るためペインクリニックを紹介し処方を受ける。治療開始後3か月程度から痛みの頻度が軽減しはじめ、薬を服用する頻度は徐々に減っていった。さらに3か月ほどでほぼ痛みは消失したので治療を終了した。

よくあるお問い合わせ(FAQ)

投稿記事がありません。