頸部の痛み

頚部には頭を支えるために7つの椎骨(頚椎)が重り、頚椎からは様々な神経が出ています。頸や頭の動きを支えるために頚椎の関節は重たい頭を載せたまま大きく可動することを強いられています。そして頚部の筋肉はこれらの動作・重量を支えるために常に負担を強いられています。頸の痛みは、頚椎や椎間板に変形・変性(変形性)が生じたり、周囲の筋肉などに過剰な負担がかかることにより、神経が圧迫(根症状)され痛みなどの症状が生じます。また、筋や筋膜自体がその場所や少し離れた部位に痛み生じさせるようになることもあります。頸の痛みには実際には様々な病態が含まれているといえましょう。

頚はもともと、力学的に大きな負担がかかる部位ですから、一度痛みが発症すると慢性的な経過をたどりなかなか症状が改善し難い疾患です。

一般に脊髄症状(上肢下肢の脱力感、手指の巧緻障害、歩行障害、排尿障害・排便障害など)がない場合には、鍼灸の適応となり、症状が軽減することが少なくありません。状態をみながら、局所や遠隔部の経穴を適宜使用し患部の緊張緩和・血流改善を図ることにより、痛み症状などの緩和をはかります。

また、慢性化したものの中には、筋筋膜痛症候群という病態に変化し慢性的な痛みが徐々に広がっているものもあります。この症状の特徴のひとつに、一般的な鎮痛方法がほとんど効かないことが知られています。早期治療で慢性痛に移行させないことが重要ですが、既に慢性化したものは中医学的配穴に併せて、トリガーポイント(trigger point)やテンダーポイント(tender point)に鍼治療を行います。

疾患の状態や日常生活でかかる負荷などは非常に個人差があります。症状が重い場合には、個々の状態を把握しつつ慎重に治療をすすめていくことが必要です。

臨床例1~頚肩の痛み・左腕のしびれ(40代)

3ヶ月ほど前から頚肩が痛み・左腕がしびれ始めた。整形外科にて検査を受け、頚椎に異常はないが頚部で神経が圧迫されているのではないかとの診断を受けた。

ジャクソンテスト陽性、モーリーテスト陽性、上肢件反射正常

頚部の神経根症状と頚肩部の筋緊張緩和を目的に施術を開始する。治療頻度は週に1回程度。
頚肩の痛みは2~3回の治療で軽減するが、腕のしびれは軽減しない。
2ヵ月後、ジビレ症状はかなり改善し少し違和感を感じる程度となる。
4ヵ月後、腕のシビレ症状も消失したので治療を終了した。

臨床例2~頸・上肢痛~頸部椎間板ヘルニア(30代女性)

3ヶ月ほど前に頸部椎間板ヘルニアを発症し、頸から右上肢にかけての痛みが生じたという。発症当初よりは痛みの程度は減少しているが、今でも頸を怖くて動かせないじょうたいであるという。状況を見ながら週に2回ほど鍼治療をおこなった。3ヶ月ほどでまだ痛みはあるものの頸はある程度自由に動かせるようになった。

通院頻度を減らして治療を継続し半年後には概ね痛みは消失した。OA端末を操作する仕事のため、頚肩こり症状がある。この症状が悪化するとヘルニアによる痛みに対する恐怖心も強くなるため、その後も時々通院されていた。

よくあるお問い合わせ(FAQ)

投稿記事がありません。