膝の痛み

膝の痛みの原因は様々ですが、中高年者に多くみられる膝の痛みには関節軟骨の老化を原因とする変形性膝関節症という疾患があります。歩くと痛む、正座が出来ない、膝を伸ばせないなどの症状が主ですが、関節が腫れる(関節内水腫)、周囲の筋肉の萎縮などをともなうことも少なくありません。中高年の膝の痛みというとすぐにこの病名が連想されがちですが、他にもいろいろ原因は考えられます。膝・脚への過度の負担が続くことにより、関節周囲の筋や腱の疲労、炎症が原因で痛みが生じていることも少なくありません。軟骨因性の痛みと筋腱の痛みが同時に生じていることもあります。また、片方の膝の痛みの発症により、身体の使い方のバランスが崩れ、過負荷となり腰痛や股関節痛、反対側の膝の痛みなどを発症することも少なくありません。

「膝に水が溜まる」とは、もともと関節内に存在する関節液が貯留過多になることです。関節液は、関節運動の潤滑のほか栄養分の供給や免疫といった役割を担っています。この液が産生過剰となるということは、関節内に炎症があるということであり、関節液はこれを防ぐために分泌されています。しかしながら、貯留過多自体が更なる痛みを招く結果になってしまいます。

既にこの疾患でお悩みの方は十分に分かっていると思われますが、治療には非常に忍耐を要する疾患です。鍼灸も含めて保存治療の目的は消炎と鎮痛です。当室では関節周囲の筋腱の痛みを取り除くこと。関節に腫れや炎症が認められる場合には特に灸治療も加えながら炎症を図ります。慢性的に進行する疾患ですので、鍼灸によって劇的に症状が改善するということは期待できませんが、根気良く治療することにより、膝周囲の炎症や膝の痛みによって生じた周辺部位の痛みを軽減・消失させることが可能です。

当室では状況を見ながら、消炎鎮痛を目的とした鍼灸治療のほか、膝周囲の筋力保持のための体操等も併せて行います。特に関節の水腫のある場合、そしてそれが長期間改善しない場合には、日常生活を根本的に見直し関節への過負荷の原因と推定されるものを見直してゆくことが重要になります。

”溜まった水は抜いてしまえば良い”と考えもあるかと思いますが、いくら抜いてもその原因行為が改善されな限り、関節液は再び溜まってしまうことでしょう。自分が長年嗜んできた趣味やスポーツとの関わり方を見直すこととなる場合もありますから、人によっては納得いかず受け入れがたいこともあるかに思います。しかし、この疾患の治療は本来患者のQOL(qualityof life生活の質)の確保にあるということを忘れてはいけません。

当室では、痛んでいる膝だけでなく、影響が及んでいる或いは今後影響が及びそうな部位の治療を併せて行うことにより、運動機能の維持回復をはかります。

臨床例~左膝の腫れ痛み(60代女性)

左膝関節が腫れ疼痛がひどい状態。整形で関節液を抜きヒアルロン酸を半年以上注入しているが、あまり変化がないという。仕事柄、日に5時間程度は歩き回らなけばならない。病院での治療は今までどおり継続し、鍼灸治療を併用することとした。2ヶ月が経過したあたりから徐々に関節の腫脹ひきはじめ、5ヶ月経過時点で、腫れ痛み共におさまる。治療終了後3ヶ月ほど後、再び関節が腫れたといって来院。調子が良かったのでかなり無理をした。変形性関節症の治療は変形自体を再建するものではないので、無理をすると悪化することを再度説明する。その後半年ほどで再び症状が治まったため治療を終了した。

臨床例~右膝関節の痛み(20代女性)

学生時代からテニスをしており、内側側副靭帯を損傷している。このため練習をハードに行うと膝の痛みが強くなり、ひどい場合には歩くのがやっとといった状態になる。また、同側足関節にも旧陳性の捻挫があり、こちらの痛みも悪化していた。なるべく無理をしないようにした上で治療を行えば1~2週間で痛みは治まるが、練習の再開により再び痛みが生じるため、治療同時にと関節周囲の筋力アップを図った。徐々にではあるが、数ヵ月後ころから痛みを感じることは少なくなった。その後出産によりテニスを止めるまで治療とトレーニングを併用した。

臨床例~右膝の痛み腫脹(50代女性)

右膝関節前面後面の腫れと痛みを訴えて来院。整形外科に一年以上通院しているがなかなか良くならないらしい。専業主婦のため特に日常生活上無理はしていないが、小さな畑を借りているため(市民園芸)時々は屈んで作業をすることもある。自己流?で大腿の筋力強化運動毎日を行っているが、やり方が間違っているので、関節に痛みがある人に適した運動法を指導し、鍼灸治療と併用することとした。4ヶ月ほどで痛み腫れ共に著しく改善し、痛みは2割程度、腫れは部分的に若干認められる程度となった。ここからがなかなか改善が進まず、治療開始から1年2ヶ月ほどで痛み腫れ共に認められなくなったため治療を終了した。

臨床例~右膝の痛み腫脹(60代女性)

右膝関節前面後面の腫脹と痛みを訴えて来院。屈曲制限があり正座は不能。歩行時の痛みもあるため体重を上手くかけられず足部の痛みも生じている。整形外科に3ヶ月間ほど通院していたが改善しなかったので鍼灸を試してみることとした。鍼と透熱灸を行うこととし、当面週に2回通院することとした。2週間ほどで腫れは引き始め、1ヵ月半ほどでほぼ腫れはなくなった。しかし、屈曲時の痛みがまだあり、正座などはまったく出来ないため、週1回ずつ痛みの治療を行うこととし、自宅での自己リハビリを指導し併せて行ってもらうこととした。4ヵ月後、そろそろとであれば正座が出来る程度に回復し、本人も日生活上あまり不自由を感じなくなったため治療を終了した。

臨床例~右膝の痛み(70代)

4ヶ月前から膝が痛いといって来院。整形でヒアルロン酸注射をしているが改善しないという。特に腫れや熱感がないため詳しく問診すると、しばらくの間入院生活をしていたとのこと。痛みはそけい部及び大腿部から膝にかけて広範囲に渡って痛んでいた。筋力低下による筋・筋膜痛によるものと判断して治療を開始。3週間ほどで
痛みは消失した。

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