肩関節の痛み(五十肩)

主に40代~50代に認められる肩関節(上肢痛を認める場合もあります)の痛みと拘縮を主徴とする疾患で肩関節周囲炎ともいわれます。(30代60代70代でなる方もいます) 一般にこの疾患は、疼痛期→拘縮期と進行します。

多くの場合はじめに、動作痛・自発痛or夜間痛に悩まされる時期が一定期間継続します。痛みの程度や継続期間は人それぞれですが、当室においては長期化している方の来院が多くを占めます。発症時においては、急激に痛みを発症する場合が多いようですが、中には半年ほどかけて徐々に痛みが漸増するような方もあります。疼痛期は痛みによる不安を最も感じやすい時期でもあります。

やがて痛みが徐々に減少し始めると、肩関節の拘縮が始まります。一般に拘縮期と呼ばれる時期ではありますが、疼痛と拘縮が長く混在することも珍しくありません。肩関節周囲の組織が拘縮するため、上腕肩甲リズム※(上腕の運動を構成する肩甲骨と上腕骨の運動比率)が乱れ上腕の可動域が制限されるものです。この時期には。肩関節周囲の重だるさや頸肩こりを訴える方も少なくありません。また、上腕の運動制限をかばうための代償動作により、腰痛など他の部位の痛みが生じることも少なくありません。(これは、腕が挙がらない分を腰を後屈させたりして補うために、腰に負担がかかってしまうこと)

※上腕肩甲リズム
上肢を30度以上外転するとき、上肢と肩甲骨の外転比率が2:1になること

後遺症としては、肩関節の拘縮が残ってしまう事があるようですが、適切な時期に適切な治療を行うことにより後遺症が残ることはほとんどありません。(一切治療を受けなかった方の拘縮後遺症を一例だけみたことがあります)

自己体験をもとに「五十肩は自然に治る」という方もある様ですが、誤った対処が疼痛の悪化、疼痛期の長期化を招く場合がありますので注意が必要です。今のところこの病気の原因は不明であり、且つ非常に個人差が大きい疾患ですので、個人の体験が他人に当てはまることは稀と云えるかも知れません。

似たような病気に、上腕二頭筋腱炎、腱板炎、肩峰下滑液包炎、インピッジメント症候群など幾つか疾患があるのでご注意が必要です。

当室では、当初は疼痛緩和・消炎を目的に鍼灸を行います。その後、慎重に拘縮の程度を見極めつつ、拘縮の改善、他部位の痛みのなどの治療、自宅での体操指導などを行います。

臨床例~右五十肩(60代)

2~3ヶ月前から右肩が痛む。整形外科に通い五十肩と云われ注射や鎮痛剤などの治療を受けているが、なかなか痛みが軽減しないと訴える。夜も痛みのために目が覚めてしまうことも少なからずあるという。

この方の場合、治療開始4ヵ月後くらいから徐々に痛みは少なくなり、変わりに頚から肩にかけてのコリを強く訴えるようになる。この時期から自宅にて体操等を行っていただく。治療開始後1年ほどで治療を終了。

始めの頃は治療を受けても治療当日に少し痛みが軽くなる程度であった。コリを強く感じるようになってからは、治療後は苦痛の軽減が長く続くようになった。

臨床例~左五十肩(50代女性)

半年くらい前から左肩が徐々に痛むようになった。フィットネスや水泳などを嗜んでいるが、最近は痛みのために出来なくなっている。最も痛むのは肩関節の後側(棘下筋)であり、痛みのため腕を上げることが出来ないという。また、この1~2ヶ月は腰も痛くなっているという。

肩の周囲と腰痛の改善を目的に治療を開始する。治療開始後8ヶ月ころより痛みが軽減し始め、徐々に関節の拘縮が進行した。治療開始後1年半で治療を終了した。腰の痛みは治療終盤まで認められたが、拘縮症状が軽減するに伴い徐々に軽減した。

臨床例~右五十肩(70代女性)

3ヶ月くらい前から右肩の痛みと強い肩こりを感じはじめたため、整形外科で理学療法などを受けている。なかなか改善しなく、特に肩こり感に耐えられないため何とかして欲しいという。(この方の場合、今まで肩こりを感じたことが無いらしく、初めての苦痛に困惑していた)

治療開始後半年で肩関節の痛み・運動制限は消失した。肩こり感は最後まで認められた。少し響く鍼を行うと数日間は肩こり感が大きく軽減した。治療終盤は肩関節の前面に"かったるいようなコリ感"を感じるようになった。関節の痛み運動制限がなくなったあとも1~2ヶ月間この苦痛が残ったが、その後肩こりも含めて感じなくなったため終了した。

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