顔面麻痺

顔面神経麻痺とは顔の筋肉を動かす神経が麻痺してしまう疾患のことですが、めまい・耳鳴り・難聴、涙腺の分泌障害、聴覚過敏、味覚障害などの症状を伴うことも少なくありません。ウイルス性のもの、頭部や顔面のケガや手術による外傷性のもの、顔面神経や周囲の神経の腫瘍によるものなど原因は様々です。

神経機能が回復しても、麻痺している間に顔面の筋肉が萎縮・拘縮してしまうと表情筋の動きが左右で非対称になってしまう場合があります。また、外見上対称に見えても表情筋の収縮力が完全に回復しなかった場合には、時間の経過と共に表情筋が拘縮し顔面が左右非対称になる場合もあります。この他に、顔面麻痺の多くを占めるベル麻痺やハント症候群の後遺症としては、病的共同運動、ワニの目様流涙、耳鳴りなどがあります。

当室では、表情筋・神経機能の回復と後遺症予防を目的に治療をすすめます。特に患者さんが女性の場合には、ある程度表情筋の収縮が回復した後も治療を継続することにより、不随意運動と筋萎縮による顔面非対称を予防することが大切です。

当室おいては原因不明なベル麻痺と腫瘍手術後の顔面麻痺の治療実績があります。

顔面麻痺の場合、その症状から他人にすぐにわかってしまいことで、大きなストレスを感じる方が多いといえます。特に働いている女性の場合には尚更です。焦りや不安からイライラが生じ、ひどい場合には円形脱毛をも発症する方もあります。

ストレス症状は、筋肉(ストレス筋群)の緊張と密接に関係があります。麻痺だけでなく、こうした症状へも同時にアプローチできるという点で、鍼灸治療は優れているといえます。

ベル麻痺で回復が思わしくなく、3~4ヶ月を経過しているのに改善しない場合などには、ぜひ鍼灸も治療法の一つとしてご検討ください。

臨床例1~ベル麻痺(30代女性)

3ヶ月前に麻痺が発症し大学病院でベル麻痺と診断され治療を受けていたが、麻痺の回復が遅れているためため当室を受診された。左顔面麻痺、閉眼不能、水を飲むとこぼれる、肉眼的には表情筋の収縮は見られない、安静時の表情の左右非対称・・・主な所見。全身の経穴による鍼治療、顔面部の低周波置鍼療法、表情筋の他動運動を行うこととした。2ヵ月後、口角部と鼻翼部の筋が少しずつ収縮する。6ヵ月後、顔面部の筋は肉眼的にはほぼ判らない程度に回復する。しかし、額部の眉の動きは左右非対称である。8ヵ月後、眉もほぼ対称の動きが可能となった。表情筋の筋力が左右ほぼ同じでない場合には長期的に見た場合には、顔面の左右非対称の原因となるため、表情筋の運動法とセルフマッサージを指導し治療を終了した。

回復が遅れており患者がまだ若い営業職だったため、治療開始当初は不安感と苛立ちが強い状態でした。少しずつ動くようになり始めたときの喜びようが印象的でした。根気良く通院されたため時間はかかりましたが良い結果に繋がりました。

ベル麻痺は多くの場合(7割程度)は後遺症なく回復しますが、麻痺の程度が強く広範囲な場合には完全には回復しない場合もあります。

臨床例2~ベル麻痺(50代男性)

4ヶ月前に発症し、ベル麻痺と診断され治療を受けていた。経過が順調ではないため医師の勧めで鍼灸を受けることとなった。右顔面麻痺、閉眼不能、水・食事がこぼれる状態。営業職のため人前に出ることにストレスを感じている。治療後2ヶ月頃より口元が動き始める。その後徐々に徐々に回復し、治療後9ヶ月で、眼から下は良く観察しなければ判らない程度までに回復したが、眉の動きは筋に少し力が入る程度にとどまった。当初の状態と比べると著しい回復であり本人も満足しているため、自宅で引き続き顔面セルフマッサージと表情筋運動を行ってもらうことで治療を終了した。

臨床例3~ベル麻痺(50代男性)

3ヶ月前にベル麻痺を発症し投薬治療を受けていた。3ヶ月が経過しても麻痺が回復しないため当室を受診することとなった。左顔面麻痺による閉眼不能、額しわ寄せ不能、口の周りの筋の麻痺、食べ物がこぼれるなどの症状が認められた。顔面部及び手足経穴への置鍼および透熱灸、および顔面部への接触鍼を行うこととし、自宅においては顔面部のマッサージを指導した。治療開始後2ヶ月ほど経過すると閉眼が可能となり、額の筋にも少し力が入り始めた。4ヶ月時点では、頬部の筋が動き始め、額の筋は肉眼的には左右差がない程度に動くようになっていたが、口の動きがいまひとつの状態であった。半年後、口の筋も動くようになり食事も食べやすくなった。左顔面部に若干の重だるさが自覚された。不随意運動などの後遺症は認められなかったので、本人の希望により治療を終了した。

 

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