無月経

治療方針

無月経の医学的分類にはいくつかの方法が存在します。
それらの中の一つに「月経経験の有無」による分類があります。18歳になても初潮がない状態を原発性無月経(平均的な初経年齢は12歳)、それまであった月経が3ヶ月以上途絶える状態を続発性無月経といいます。原発性は染色体異常や子宮や膣や卵巣の実質性の異常が原因となります。続発性はホルモン分泌異常、精神的ストレス、ダイエット、過度のスポーツなどが原因となります。

実際の診療に際しては、内分泌疾患(高プロラクチン血症、甲状腺疾患)の有無や過度のダイエットによる体重減少の有無などを確認します。その上で、エストロゲンの分泌の有無による分類を確認します。つまり、エストロゲンが分泌しているため、プロゲステロンの投与(Pテスト)だけで消退出血おこるものを第1度無月経、エストロゲンの分泌がないので内膜が増殖せずエストロゲンとプロゲステロン双方の投与(EPテスト)で消退出血が起こるものを第2度無月経といいます。Pテスト、EPテストの双方で消退出血が起こらないものは子宮性無月経を疑います。第1度無月経であってもエストロゲンの分泌が十分でない場合にはエストロゲンとプロゲステロンの双方が投与されます。(カウフマン療法といいます)
また、胃薬や制吐剤、向精神薬、避妊用ピルなどにより高プロラクチン血症となる場合がありますので注意が必要です。

東洋医学では気血や臓腑の状態により、脾虚少血、脾肺気虚、陰虚血燥、肝腎不足、気滞血オ、寒滞子宮、痰湿阻滞などに分類します。

当室では、主に続発性無月経の治療を行っています。鍼灸治療により一定周期の月経を回復させ、それを継続することにより自立性を回復させること、或は鍼灸治療の継続で周期的な月経来潮を維持することを目標に治療します。

なお、無月経を長期間放置することは、自律性の回復(自然排卵)を難しくするだけでなく、妊孕性の低下(妊娠力の低下)を招き、骨粗しょう症や子宮内膜癌のリスク増加させ、男性ホルモンの過剰症が生じるといった点でデメリットがあります。まず初めに婦人科で検査を受け、十分な治療効果が得られない場合には早目にご相談ください。

≪臨床例・・・20代女性(中枢性無月経)≫
10年ほど前から無月経状態にあり、年に2~3回しか月経がない。過去に婦人科でホルモン治療や漢方治療を受けた。治療中は月経があるものの服用を中止すると再び無月経状態となる。甲状腺や副腎などに異常はなく、肥満等の要因もない。無月経状態を継続するリスクは承知していたが、薬剤を使用し続けることに抵抗があったので、その後は治療を受けていない状態にあった。知人に鍼灸を試すことにした。仕事や人間関係などのストレスがおおく肝気鬱滞状態にあり、イライラや胸部の苦悶などが見られた。週に1回の治療を行うこととした。半年程度で50~60日周期で月経がみられるようになり、1年ほどで30~40日周期の月経となる。その後さらに1年ほど治療を継続し、概ね30日~35日程の月経周期が続いていたので、治療を中止したが継続して月経が来潮した。

≪臨床例・・・30代女性(中枢性無月経)≫
初潮以来未だに定期的な周期で月経が来たことがない。過去に婦人科でホルモン治療を受けたが自律性回復はなかった。また、漢方治療も試したが、服用の継続により月経が来るようにはなったが服用を中止すると無月経となった。しばらくの間何ら治療を受けていなかったが、無月経状態(年に2回ほどの月経)が続くことのデメリットを考えていたところ、当室を紹介されたので来院した。ストレスが多く睡眠の質も良くない状態にある。
3か月ほどで月経が50日ほどの周期でき始めたが、多忙なため治療頻度は少なくなり再び月経は来なくなった。8か月ごろから再び定期的な治療を開始し1年2か月ごろから40日以内の月経周期となる。2年ごろまで定期的治療をするが、治療を中止すると月経周期が長くなることから治療頻度を月に2回程度に落とて継続し月経を維持している。

 

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